2024.08.26
リベラルアーツ × ART
弊社では「リベラルアーツ」の視点を取り入れた社員教育に取り組んでいます。
そこには、本業に直結した専門知識の習得だだけではなく、様々な社会問題を正しい知識で理解し、
自ら考えられる力を身につけて欲しいという思いがあります。
詳しくは トップインタビューvol.7「学べる会社とは」
今年度から、社員に参加して欲しいと思うセミナー等の情報を社内の電子掲示板に掲載し、
参加した方から感想を書き込んでもらう取り組みを始めました。
最初に取り上げたのが「美術鑑賞」です。
絵の見方が分からなくても、観る、感じる、考える、を継続することで、確実に感性は磨かれ、
対象の見え方(捉え方)が変わってくると思います。
弊社は地元の美術館の法人会員で、社員は無料で展覧会を鑑賞することができるのですが、
実際に足を運んでいる社員はごくわずかでした。
そこで、リベラルアーツの旗印のもと、社員に展覧会への参加を呼びかけました。
以下、これまでに取り上げた展覧会と参加者の感想(抜粋)をご紹介します。
(美術館だけでなく、博物館の企画展も対象としました。)
〇山形美術館「カンヴァスの同伴者たち」 4月5日~5月26日
Sさん
作品はもちろん、展示構成も興味深い展覧会でした。
最初に著名なアーティストの初期作品がならび、鮮やかなプリントやアクリルに続いてモノクロが多い書などの作品、そして東北ゆかりの作家と続き、最後に立体作品という流れが、高橋龍太郎のコレクションの幅広さを分かりやすく表現していたと思いました。私が一番目に留まったのは、久松知子《〈美術〉の神様》。なぜ画中画に藤田嗣治の《アッツ島玉砕》が描かれいているのか、どんな意図があるか気になりました。
Sさん
カンヴァスの同伴者たち観てきました。
正直、芸術に疎く、現代アートに全く知識が無い自分はただエネルギーを吸い取られる気分になりました。
その中でも山口晃さんの作品は自分にもわかりやすく、
昔風の作画に現代のギミックを仕込んでいるのが面白いなと思いました。
〇山形美術館「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」 7月11日~8月25日
Mさん
佐渡の漁村で残照に立つ老人と、手持ち無沙汰の孫のいる風景や、
木場深川の橋桁からの夕焼けの作品が心に残りました。
時代や場所はちがっても、小さい頃に心に刻まれた景色のような、懐かしさを感じました。刷りの工程も興味深かったです。
Rさん
写実的ながらも最低限の線でダイナミックに描かれた作品から、完成に至るまでの長い旅路や膨大なスケッチが読み取れるようなエネルギーを感じました。
一見すると平面的な印象ながら、川瀬巴水の感性と観察によって描き出された色使いによって、風景・建物・人の間に流れる空気や光、時間を感じます。
明治期という石版画や活版印刷等の大量生産される印刷物が台頭した時代に、伝統的な木版画の技術を残しながら新たな技法を模索する新版画と呼ばれるムーブメントが生まれたという話は、つい現在の印刷業界と照らし合わせて見てしまいました。
〇仙台市博物館「大航海時代へ マルコポーロが開いた世界」 7月6日~8月25日
(法人会員となっていない展覧会の入場料は会社負担としました。)
Aさん
企画展では時代が進むごとに作品に精巧さが増し、繊細になっていく様を目の当たりにすることができ感激しました。
気に入った作品は「三彩瓜」。瓜が乗ったお皿が作品となっていて、「あの世でも美味しい瓜が食べられるように」供物として制作されており、古代の人々の食に対する貪欲さに共感を覚えました。
昔からの本や印刷物が思いのほか綺麗な形で残っていることにも驚きました。
国宝の支倉常長の油絵も、仙台に住んでいながら初めて実物を目にしました。
世界史、美術、宗教、天文学の知識が自分には全く足りていないと思いました。
館内は時間が経つごとに人が増え、小学生〜祖父母世代まで来場しておりました。
想像していたよりも盛況で、皆の関心の深さに驚きました。
次回の展示がありましたら、音声ガイドとともに鑑賞したいと思いました。
鑑賞した方の感想からも、新たな発見があったり、刺激をもらうことができます。
今後も、リベラルアーツの取組みを紹介していきます。
(次回は「夏芸大」を取り上げる予定です。)