2020.06.25

経営理念「働き甲斐のある企業」・・・【トップインタビュー vol. 2】

「私達は働き甲斐のある 企業を目指します」 そこに、込められた想いとは。 そして、数々のチャレンジ…。

今回の2020年トップインタビューでは、経営理念の中でいちばん最初に掲げられている「私達は働き甲斐のある企業を⽬指します」という理念に込められた意味や想い、この理念を実現していくために実践している数々のチャレンジ、さらには今後の展望までを、阿部社⻑に余すところなく語っていただいた。


「スキル」「成果」「成⻑」という、
働きがい3要素

「働き甲斐」とは、そもそも何なのか? 歴代の社⻑によっても、その解釈はさまざまで、はっきりとした形で明⽂化されてこなかった経緯があるそうだ。そこで阿部社⻑は、社⻑就任前にこの理念を⾃分なりに咀嚼・解釈して、さらに明⽂化まで⾏ったという。「この働き甲斐を考える時、すべての従業員に共通すること、また私⽣活にも通じる働き甲斐とは何かを考えました」と、昨年の第1回トップインタビューで阿部社⻑は語っており、理念の咀嚼を通して導き出した要素は3つ。「スキルの向上」「良い成果」「⼈間的成⻑」だった。

阿部 「ここで私が⾔うスキルとは、業務遂⾏能⼒(知識・技術・態度)のことです。もっとわかりやすく⾔えば、今まで知らなかった知識を⾝につけて、できなかったことができるようになり、より正しい⾒⽅と考え⽅ができるようになることだと⾔えます。これは、私⽣活における趣味でも同じことが⾔えるのではないでしょうか。スキルの向上には、“私達はチャレンジしていく”という想いを込めています」その⾔葉に、スキル獲得に⾄るチャレンジのプロセスまでも⼤切にしていこうとする強い姿勢が伺える。

「こうして⼀⼈ひとりがスキルを磨いて、その⼒を集結させ、⼀丸となって業務に取り組んだ時に、良い成果を残すことができます。この良い成果は、社員全員の喜びになります。もちろん、良い成果が出ない時もあります。たとえ望むべき成果が出せなかったとしても、そこから何かを学び、前向きに次の成果を求めていくことが⼤切です」

FLOT仙台スタッフ

阿部社⻑が考えるこの良い成果には、「協⼒・団結・連携」のイメージが⽋かせない。すべての部⾨・部署がしっかりと連携して、最後にお客さまが満⾜するものができ、最終的に感謝されることが、良い成果と⾔えるのだという。これこそが、異なる能⼒を持つ多様な⼈材が集まる組織の、本来あるべき姿なのだろう。

阿部 「もちろん仕事をしていれば、うまくいくことばかりではありません。今回の新型コロナウィルスのような外的要因により困難が突然降りかかってくる場⾯も近年増えてきました。こんな時こそ、部⾨・部署を越えて価値観の異なる仲間と意⾒や考え⽅をぶつけ合いながら、協⼒・団結・連携することでそれらを乗り切っていきたい。これこそが最終的に⼈間的成⻑につながっていくと考えています」


「働き甲斐のある企業」に、 なるために……

「働き甲斐のある企業」に、 なるために…

阿部社⻑が導き出した「スキルの向上」「良い成果」「⼈間的成⻑」という働き甲斐の3要素は、「役職」「収⼊」といった、結果として会社から与えられる働き甲斐とは異なり、なかなか⾒えづらい要素であることも確かだ。阿部社⻑⾃⾝は、こうした⽬に⾒えづらくても、⾃ら求めて得られるものを⼤切に、真に働き甲斐のある企業を⽬指していきたいという。そのために、これから具体的にどんなチャレンジをしていくのだろうか。

阿部 「スキル向上という点では、昔から資格を取得したり、新しい知識を得ることを通して、技術を磨いてきました。⽥宮印刷・FLOTの組織⾵⼟として、そうしたチャレンジは脈々と⽣きています」「また、印刷物が少なくなっていく中、事業領域を広げていかなくてはなりません」特に、今年度から推進している⾷と農のセールスプロモーションをトータルプロデュースする「セールスプロモーションアドバイザー(SPA)」の育成や、⼤学広報を幅広く⽀援する「ユニバーシティチーム(UST)」の組織化など、事業・サービス・⼈材の強化に向けたチャレンジは⽇々続けられており、その積み重ねの中で阿部社⻑⾃⾝は具体的な変化を実感しはじめている。また、印刷⼯場部⾨においても個⼈⽬標にチャレンジし、部署を越えて協⼒しあえる業務環境や多能⼯育成をさらに推進しており、個々の⼒量が向上しているという。少しずつ社員の意識や⾏動に変化が現れ、社内全体にいい影響が広がりはじめていることがうかがえる。

「数年前からすごく⾏動が早くなってきています。特に営業メンバーの⾏動は早くなった。営業メンバーからお客さまの情報がどんどん上がってきて、それに対して経営層がフィードバックする。その繰り返しの中で営業メンバーと管理職・経営層の⼀体感が⽣まれ、⻭⾞がガッチリと合わさっている感じです」


働き甲斐のある企業の、
その先を⾒据えて……

FLOT仙台のスタッフと阿部社長。

FLOT仙台のスタッフと阿部社長。

さまざまなチャレンジを試みながら、新しい分野にも事業領域を広げていく。「働き甲斐のある企業」になること、そして「働き甲斐のある企業」であり続けることは、もちろん容易ではない。はたして、「働き甲斐のある企業」のその先には、どんな企業像があるのだろうか。

阿部 「企業として存続・永続していくことに集約されていきます。これからの10年を、その先の10年、20年、30年をつくっていけるようなベースにしていきたいです」働き甲斐があれば、きっと社員は働き続けられる。そして、社員おのおのがスキルを⾼めながら働き続け、良い結果を出し続ければ、その企業は永続していけるだろう。永続していくことは、地域にしっかりと根ざすことでもある。

そして、阿部社⻑は、最後にこう締めくくった。

阿部 「社員⼀⼈ひとりが頭をひねりながら、また⾯⽩みを⾒つけながら仕事に取り組めるように、新⼈であっても、中堅であっても、社員になるべく裁量を与えることができれば良いですよね」

文字面だけでは、なかなか汲み取ることの難しかった「私達は働き甲斐のある企業を目指します」という理念。今回改めて、阿部社長のリアルな言葉を通して、その意味や込められた想いにふれる機会を得られた。⽥宮印刷とフロットが、次に向かうべき先。その、まだ阿部社⻑の⽬にしか⾒えていない光景が、ほんの少しだけでも⾒えたのではないだろうか。

田宮印刷周辺の風景

田宮印刷+フロットの経営理念

阿部和⼈(あべかずひと)/田宮印刷・FLOT 代表取締役社⻑

阿部和⼈(あべかずひと)/田宮印刷・FLOT 代表取締役社⻑

⼭形県大石田⽣まれ。⼤学卒業後、1988年⽥宮印刷株式会社へ⼊社。営業一筋。本社営業部⻑、仙台支店長、営業部門統括、常務取締役を経て、2019年6⽉⽥宮印刷株式会社および株式会社フロットの代表取締役社⻑に就任。多趣味。